筍の京都軟化式栽培法で、敷き藁・土入れをするアイディアはどこから来たのか

想定読者は、

  • 竹林、筍栽培、竹藪に興味のある人
  • 「なんでタケノコ栽培では敷き藁とか土入れとかめっちゃしんどい作業があるんだよ」と思う人

です。

この記事を読むと、

  • どこから敷き藁、土入れなどの重労働を竹藪全体にするなんていうアイディアが浮かんだのか

がわかります。

先に結論を言うと、

畑の野菜でそうしていたから

ということになります。

 

問題意識

京都軟化式栽培法は、

  • 竹に伸止めを行って適度な長さに揃えて、
  • 竹藪に肥料を与え、
  • 草引きして
  • 藁を一面に敷いて、
  • 土入れをして、

竹藪を畑とみなして丁寧に管理する筍の栽培方法です。

僕は筍農家の家に生まれて物心ついたときから竹藪で敷き藁と土入れを手伝う人生を送ってきました(すごい人生だな)。

なので冬になると敷き藁して土入れをするというのは当たり前のことでした。

しかし最近になって、

  • 最初にやり始めた人は、無からこれほどしんどい作業を思いついたのだろうか
  • 無から思いついたとしたら、なぜ確信をもって敷き藁/土入れを継続できたのか
    • 藁を敷いたり、土入れで土をかじっている途中、「こんなことしてちゃんと意味があるのかな」などと思わなかったのだろうか
    • うまくいく確信がなくて途中で「放り出してしまおうと」思わなかったのだろうか
  • 簡単で楽な作業なら思いついて実践するかもしれないが、あえてしんどい方法を思いついているような気がするんだが

と思い始めていました。

 

江戸時代の農作法

ときは江戸幕府。

徳川綱吉将軍が収める江戸時代元禄10年に、宮崎安貞という人が『農業全書』という書物を書いています。

その書の一部に、以下のような文章があります。

抜きたる草を、畠ならば畝(うね)の高きところに広げ置き、
枯れて後、野菜の根の際(きわ)に寄せ置く。

土を覆い、また其の上よりも、肥料をかくれば、
枯れたる草、腐りつぶれて、土よく肥ゆるものなり。

これを「くさおおう」と云うなり。

 

-引用『野菜づくりの知恵とワザ』木嶋利男

これは野菜の栽培方法、野菜を育てるための土づくりの方法のわけですが、

  • 「抜きたる草、枯れて後、広げ置き」を「敷き藁」に、
  • 「土を覆い」を「土入れ」に、

置き換える(読み替える)と、
そのものズバリ、敷き藁と土入れのことを言い表した文章になっています。

雑草マルチング

いわゆる敷き藁は、農業の世界では「雑草マルチング」「草マルチ」「藁マルチ」と言われるもので、
刈った雑草を畝に敷くというものです。

これは現代の「ビニールマルチ」に進化していて、
ビニールマルチの効果は

  1. 雑草防除
  2. 乾燥防止
  3. 雨で土が固くなることを防ぐ
  4. 地温の上昇

などがあります。

ビニールマルチのそれらの効果に加えて、
雑草マルチでは、

  • 敷いた草が分解して肥料に、
  • 敷いた草の中で細菌や多様な虫の生態系が生まれる

という効果があります。

江戸時代では、「ビニール」という素材がありません。
雑草との戦いは現代よりも激しかったことでしょう。

昔の人は、使えるものはなんでも使おうと、
大量の雑草を敷いてマルチングする方法を思いついたのでしょう。

そして、「敷いた草が分解して肥料になる」という雑草マルチ特有の効果を最大限に伸ばすために(敷いた草の上から米ぬかを加えたりしつつ)、
上から土をかけて、草の分解を促進していたということなのでしょう。

筍の京都軟化式栽培法は、江戸時代の野菜の農法「くさおおう」を筍栽培に転用したものだった、と考えられます。

まとめ

筍の京都軟化式栽培法の「敷き藁」と「土入れ」の出自を考えました。

それは江戸時代の「くさおおう」という農法でした。

もう一度、『農業全書』の文章を見てみましょう。

抜きたる草を、畠ならば畝(うね)の高きところに広げ置き、
枯れて後、野菜の根の際(きわ)に寄せ置く。

土を覆い、また其の上よりも、肥料をかくれば、
枯れたる草、腐りつぶれて、土よく肥ゆるものなり。

これを「くさおおう」と云うなり。

(「腐りつぶれて」という表現が事態をよく言い表していてなんともいいですね)

「畠ならば、畝(うね)の高きところに広げ置き」とありますが、
竹藪=竹林には「畝(うね)」のような特別な場所はないため、
(あるいは全面が畝のため)
竹林一面に稲藁マルチをして、土を覆ったということなのでしょう。

まとめ。

Q.筍の京都軟化式栽培法の敷き藁と土入れという重労働作業のアイディアはどこから来たのか?

A.それは江戸時代の「くさおおう」という農作法、現代で言う雑草マルチングから来た。
そしてそれは、畑の野菜を作っている方法と同じである。

簡単に言うと、

畑の野菜の作り方と同じ作り方でタケノコも作った

ということでした。

 

感想

わかってみると、非常になんだそんなことか、というものでした。

筍栽培は林業と農業の中間に位置しているものと一見思えますが、
ほとんど農業の領域のものなのだな、と改めて再認識しました。

おわり

 

参考:https://kajitora.com/weed-multing/

 

 

 

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